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ストレンジャー・シングス完結考察!80年代という「分断」の源泉|AC✖️HSPの私が読み解くシリーズの全体像

やまね
やまね

2026年1月1日、ついに完結しましたね!
年明けに世界に向けて発信されたこのドラマの素晴らしいメッセージを読み解いていきたいと思います。

やまねです😊

2016年にスタートしたNetflixドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シリーズ。
遂に2026年1月1日に完結しましたね。

私は、この日をこの数ヶ月の間、シーズン1からドラマを見直し、それを元にnoteで最終シーズンまでのあらすじもまとめたりしながら、まだかまだかと待っておりました。

それ位、楽しみにしていたので、観る時、ちょっと緊張した程。

というのも、このドラマの舞台は80年代ではあるんですが、現代の問題につながる重要なテーマを扱っているんだろうなということが感じられ、これは見逃せないなと思っていたからです。

そして、実際にラストまで見届けた結果、心に残ったものは一体何だったのか?
早速、考察をしていきたいと思います。

ネタバレがあるので、ご注意ください🙇

「アップサイドダウン」の正体が明かされる

ずっと「アップサイドダウン」「裏側の世界」と呼ばれてきたあの場所。

ついに最終章になって、「アップサイドダウン」の正体は、「アビス」と呼ばれる世界と表の世界を媒介する場所だったということが明らかになりました。

実は、最大の敵ヘンリー(ヴェクナ)はこの「アビス」から「アップサイドダウン」を通って表の世界に来ていたわけです。

そして、この「アビス」というのは、日本語にすると深淵という意味です。
深淵といえば、こんな有名な言葉がありますよね。

深淵(アビス)をのぞくとき、
深淵もまたこちらをのぞいているのだ。

『善悪の彼岸』ニーチェ

ニーチェのいう「アビス(深淵)」とは、神が死んだあとの世界、つまり絶対的な意味や価値が失われた場所であり、同時に人間の内側にある闇がむき出しになる領域でもあります。

ということは、今まで『ストレンジャー・シングス』というのは、神が死んだ世界、人間の内側にある闇の中から現れた怪物との戦いの物語だったということになります。

アビスからアップサイドダウンを通って、表の世界に来ていたヘンリー(ヴェクナ)。アップサイドダウンは通り道でした。

ウィルとヘンリーの対比

2人には共通点もありながら、選んだ道は違いました。
その対比に物語の重要なポイントが隠されていると思うので、今度はウィルとヘンリーの対比について見ていきたいと思います。

ヘンリーの過去

Why I chose them to reshape the world?
(世界を作り変えるために なぜ子供を選んだか)
It's because they are weak.
(子供は弱いからだ)
Weak in body and mind. Easily broken.
(身も心も弱い 簡単に壊れ)
Easily reshaped. Controlled.
(簡単に影響され 操られる)
The perfect vessels.
(完璧な器だ)

『ストレンジャー・シングス』シーズン5エピソード4において、ヘンリーがウィルに対して言ったセリフ

最終シーズンの前半で、ヘンリーは、ウィルに対してこんなことを言っていました。

でも、ヘンリーの過去が明らかになることで、実はヘンリーも子供時代に、ある出来事がきっかけとなって、「アビス」に存在した「マインド・フレイヤー」という怪物に入り込まれていたのだということがわかります。

それまでのヘンリーはスーパーパワーの持ち主ではなくて、普通の子どもだったんです。

ところが、「マインド・フレイヤー」によってその記憶を封印されていたので、ヘンリー自身もそのことを忘却していた。

つまり、ヘンリーもウィルと同じように「マインド・フレイヤー」にとっての「器」だったということが明らかになります。

「器」というのは、悪の主体ではなくて、闇に入り込まれて操られる受動的な存在だということです。
子どもは、弱くて影響を受けやすいから、操りやすい。

子どもだったヘンリーも、「マインド・フレイヤー」に入り込まれてしまった最初の犠牲者だったんですね。

ヘンリー自身も忘れていた過去が明らかになったところで、ウィルに言ったセリフがまさに自分自身にも当てはまるものだったことが判明。
特大ブーメランですね。

ウィルからの問いかけとヘンリーの応答

It wasn't you. It was never you.
(君じゃなかった 君は悪くなかった)

That's why the Mind Flayer didn't want you in the cave.
(マインド・フレイヤーが君を洞窟から遠ざけていた)
It didn't want you remember.
(思い出さないように)

You were just a kid, a kid like me.
(君は僕と同じただの子どもだった)

And it used you. It used you to bring it here.
(利用されただけ 世界を滅ぼすために)

You're just like me, Henry.
(僕と同じだヘンリー)

A vessel.
(君は器)

But you can resist it. Help us fight it.
(でも抵抗できる 力を貸してくれ)

Don't let win it, Henry, please. Don't let win.
(負けないで そいつに勝たせちゃダメだ)

『ストレンジャー・シングス』シーズン5エピソード8において、ウィルがヘンリーに対して言ったセリフ

このウィルからの問いかけに対して、ヘンリーの出した答えは「No」でした。

It showed me the truth.
(おかげで知れたんだ)

It showed me that this world is broken.
(この世界は壊れている)

That man is broken.
(人間は壊れていると)

It has never controlled me.
(僕は操られたことはない)
And I never controlled it.
(僕が操ったこともない)

Don't you see, William?
(わからないか、ウィリアム)

I could have resisted it.
(抵抗しようと思えばできた)

But I chose to join it.
(でも、僕が選んだんだ 仲間になると)

It needs...me. And I need it.
(それは僕が必要なんだ 僕も必要としている)

We...are...one.
(僕と それは ひとつ)

『ストレンジャー・シングス』シーズン5エピソード8において、ウィルの問いかけに対するヘンリーの応答

ヘンリーは、記憶を取り戻した上で、それでも「マインド・フレイヤー」と自分が一つであるという選択をします。

自分自身で深淵の中の怪物と一体となることを選ぶことで、単なる器を超える存在となったわけです。

人間時代のヘンリーの姿です。
ヘンリーは記憶を取り戻し、「放っておいてくれ」と言いながら涙を流していました。
けれども、答えは「No!」。

ウィルの選択

それに対し、ウィルは、これまでのシリーズの中で、何度もヘンリーに利用されて、「マインド・フレイヤー」と一体になりかけていましたが、最終章において、むしろ一体になっていることを逆手にとってヘンリーの力を利用できるように覚醒しました。

そして、ヘンリーに対抗するために、彼に自分の心の弱み、秘密を利用されることのないように、あえて戦いの前に仲間たちに本当の自分を曝け出すことにします。

ウィルの秘密とは、「僕は女の子が好きじゃない」ということ。
ずっと人と違うと思われたくなくて、隠してきた真実でした。

そして、ウィルは自分を隠すことをやめて、自分と向き合い、仲間たちとも正面から向き合うことができたことで、「I'm ready to show him I'm not afreaid anymore(もう何も怖くないと証明してやる)」と立ち上がるんですね。

深淵に触れ、その中にいる怪物の破壊的な力や苦しみを知りながら、それでも怪物との同一化に向かうのではなく、自分の頭で何が正しいかを考えるその姿は、まさにニーチェのいう超人的な態度だと言えます。

ウィルが力を使う時は白目。
「マインド・フレイヤー」と接続している状態で視界が異空間に向けられているからかなと思います。

エルやカリのスーパーパワーの力の源泉は何だったのか?

ヘンリーの血

さらに、最終章では、エルやカリがスーパーパワーを持つことになった背景も明かされます。

それは、エルやカリがまだ母親のお腹の中にいた頃、ホーキンス研究所においてヘンリーの血が母体に輸血されることで、彼の血を受け継いだからだったんですね。

つまり、エルやカリのスーパーパワーの源泉も、元を辿ればヘンリーに力を与えたアビスに由来するものだということがわかります。

アビスというのは、神や絶対的な意味が消えたあとに残る未分化の生のエネルギーの層で、不安・恐怖・怒り・欲望・創造衝動・愛がまだ価値づけされていない状態で渦巻く場所であり、力の源泉となる場所なんですね。
何者にも規定されることのない自由なエネルギーが渦巻く場所とでもいいましょうか。

怪物はその力を供給源としており、それがヘンリーの血を経由して、エルやカリの体内へも流れ込み、力の源泉となったのだと考えられます。

血に秘密があったからこそ、スーパーパワーを使った後は決まって鼻血が出ていたのかしら。

エルの選択

だからこそ、エル達は、自分たちが生き残っている限り、ヘンリーを倒したとしても、アビスにいる怪物と表の世界との関係性が完全には切れないこと、またアビスの力を利用しようとする人々に一生狙われ、自分たちの後継となる子どもが生み出されてしまうことを危惧します。

全てを終わらせるためには、ヘンリーだけではなくて自分達自身の存在を消す必要があるのではないかと思い詰めてしまうんですね。

そして、ヘンリーとの戦いが終わった後に、エルは爆破されたアップサイドダウンと共に皆んなの前から姿を消してしまいます。

もしかすると物語のラストにマイクが語ったように、エルは遠いどこかの地で生きているのかもしれないし、もしかすると本当に消えてしまったのかもしれませんが、エルはもう誰の手も届かないどこかへ行ってしまったんですね。

本当のことは誰にもわからないけれど、もしもマイクが語ったように、エルが遠いどこかの地で生きているのだとすると、エルはアビスの最も深い闇を見ながら、それでも生を選び続ける”超人”となったのだと言えます。

そうして、マイクの語った物語を、仲間たちが「信じる」と言ったように、そういう選択を人間が取りうると信じることが、私たちの心に希望を灯してくれるのではないかと思いました。

エルはもしかすると遂に安寧の地を見つけたのかもしれない。
マイクの語りに合わせた映像の中では滝は2本でしたが、
かつて、マイクはエルに、誰にも見つからない遠い所、3本の滝がある場所で一緒に暮らそうと約束していたんですよね。

戦いの行方

話はちょっと戻って、戦いの行方について考えていきたいと思います。

戦いの相手は「誰」だったのか

先ほど「ウィルとヘンリーの対比」のところで書いたように、実は、戦いの相手はヘンリーかと思いきや、その背後にはヘンリーを操っていたアビスに存在する怪物「マインド・フレイヤー」がいたんですよね。

そこで、この「マインド・フレイヤー」というのは、一体どういう存在だったのかということを考えてみたいと思います。

シーズン1から、ヘンリーは、人の心身に入り込んで、意識や感覚を一体化させるという力を持ち、ウィルをはじめ多くの人を取り込んでいきました。

ウィルはヘンリーの魔の手を免れましたが、ヘンリーに捕まった人は、管のようなものに繋がれて、自分の幻想の中にのみ意識が留まり、栄養分のようになって最後は死んでしまう。

これって、ヘンリーが主体ならば、ヘンリーが人を支配するという主従関係になるわけですが、実はそのヘンリーすら「マインド・フレイヤー」に操られていただけだったとすると、そもそも、これは何なのかということになります。

そして、「マインド・フレイヤー」自体は、雲みたいなモヤモヤしたものでできていて、実体のある怪物といえるような存在ではありません。

だからこそ、「マインド・フレイヤー」の第一の器となるヘンリーが必要だったわけです。

ここで、アビスという場所に立ち返って考えてみると、アビスっていうのは、神がいない場所であり、絶対的な意味がない場所ですから、完全な自由が得られ力の源泉ともなる一方で、何も依るべき価値や規範が存在せず、虚無や恐怖を生み出す場所ともなりえます。

だから、人は無意識のうちに、アビスの虚無や恐怖から逃れようとする。
そして、そのための安全装置として全体が一体化し、個人が絶対的な意味のない場所でただ1人価値を選択するという過酷な状況を避け、一体化の中に安心・安全を見出そうとする心の働きが生み出されます。

つまり、全体主義の誕生ですね。

現実の中でも、全体主義というのは、1人のカリスマが作り出すのではなくて、人々の心の中にある絶対的な意味がない場所に耐えられないという弱さ、誰かに意味を決めてほしい、全体と一体化することで安心を得たいという欲求が先にあって、そこにちょうどカリスマが現れるという形で発生します。

「マインド・フレイヤー」という実体のない怪物とヘンリーの関係も、それと同じようなものと解釈できるのではないでしょうか。

本当の敵は、こんなモヤモヤしたものでした。
これ自体は、実体がないので、特に何かを実行したりする力もないわけです。

「マインド・フレイヤー」に対抗したものは何だったのか

この「マインド・フレイヤー」に対抗したのは、エルやウィルのスーパーパワーの力ではありません。

マイク、ダスティン、ルーカス、スティーブ、ナンシー、ジョナサン、ロビンなどなど、それぞれが自分の頭で考え、知恵を寄せ合い、お互いの選択を尊重し、心を一つにして戦ったんですね。

「マインド・フレイヤー」が人々を吸収し同化するのと、一つになるという面では同じですが、その根底にある意識は、個であることへの恐怖ではありません。

個であることを尊重するからこそ、共に生きようと心を一つにする。

それこそが、「マインド・フレイヤー」に対抗した存在、「仲間」でした。

I'm not afraid anymore.
(もう怖くない)
We're not ...afraid ...of you.
(僕たちは・・・お前なんか・・・怖くない)

『ストレンジャー・シングス』シーズン5エピソード8、最終決戦時のウィルのセリフ
こんな感じの蜘蛛の化け物みたいなものの中にヘンリーがいて、エルと戦っています。
マイク達は化け物を外側から倒そうと一致団結。
イラストはイメージですが、実際の映像とだいぶ似てないです。

卒業式でのダスティンのスピーチからわかったこと

戦いが終わり、日常に戻った中で、ダスティンが高校の卒業式の代表となってスピーチをするのですが、このスピーチが80年代的であり、尚且つ、この物語の後にあるものを語るメッセージともなっていて、非常に素晴らしかったですね。

長いですが、引用したいと思います。

Now, bad chaos brings anarchy, destruction, war.
(悪い混沌がもたらすのは 混乱や破壊 戦争)

But good chaos can bring innovation, change.
(でも良い混沌は革新を生む 変化も)

And this school, frankly it needed change.
(この学校には 変化が必要だった)

Because we were so divided into the jocks, the nerds, freaks.
(あまりに分断されてた 体育会系、オタク、変人とかね)

And in the chaos, all those walls broke down, and I made new friends.
(でも混沌の中で その壁がすべて取っ払われ 友達ができた)

I made friends who were never even supposed to be my friends.
(縁がないと思ってた人と友達になれた)

This wasn't just me. I saw this happens with so many others.
(それは俺だけじゃない)

When you get to know people who are different from you, you begin to learn more about yourself.
(自分とは違う人を知ると 自分のことがもっと見えてくる)

You change. You grow.
(変化し 成長する)

I'm a better person now. I'm a better person because of them, because of my friends.
(俺は前より いい人間になれた それは彼らがいたから 友達のおかげだ)

So, I'm pissed off anymore.
(だから もうムカついてない)

But I am worried.
(でも心配はしてる)

Worried, because now chaos is over, Principal Higgins and every square like him is gonna do their damnedest to put everything back in order.
(なぜなら もう混沌は終わった ヒギンズ校長とお堅いヤツらが 全力で元に戻そうとするはず)

And I don't want order, which is why it's hypocritical that I'm wearing this thing.
(秩序なんか要らない 偽善者ぶって着てるけど バカみたいなガウンだ)

I mean, we look ridiculous. What is this? We look like Roman senators.
(ローマの元老院か?)

I mean it's not who I am. I don't think it's who any of us are.
(こんなのは 本当の俺たちじゃない)

So, honestly, just screw it.
(だからクソくらえだ)

Screw the school. Screw the system. Screw conformity.
(学校をぶっ壊せ 秩序など知るか 慣習もクソだ)

Screw everyone and everything... trying to hold you up and tear us apart, because this, this is our year!
(俺たちを抑えるものは すべてぶっ壊せ 今年は俺たちの年だから!)

『ストレンジャー・シングス』シーズン5エピソード8における高校卒業式でのダスティンのスピーチ

最後の部分は、過去のシーズンで命を落としたエディーが卒業式のスピーチでぶちまけようとしていた内容を踏襲したものであり、既存の価値観をぶっ壊そうとするハードロック/ヘビーメタルな80年代的メッセージとなっています。

そして、同時に、この物語の後を語るもの、アビスの混沌を経験した後、人間はどうあるべきかということへの大事なメッセージともなっているんですね。

全体主義を生み出したカオス、分断を乗り越えた後には、また人々の不安の拠り所となるような新しい絶対的な価値や秩序がやってくるかもしれない。

そういうものに、「No」と言って、仲間と共にカオスの中を生きようというメッセージが込められているのではないかと思います。

スピーチの最後にガウンを破り脱ぎ捨てると、中には「ヘルファイアクラブ」のTシャツが!
Iron Maiden - The Trooper
この曲が、ダスティンのスピーチの最後に流れます。

舞台となった80年代と現代との関係性を考える

舞台となった80年代は、どんな時代だったのか

この『ストレンジャー・シングス』は、シリーズを通して80年代の6年間を描いた物語となっています。

このドラマが描いた80年代は、資本主義社会が発展して大量消費の時代となり、ドラマのセットに散りばめられていたように、遊び心あるカラフルでキラキラした物で溢れて、人間がそれまでにないくらいの豊かさを手に入れた時代でした。

また、同時に、ドラマでも様々な形で引用されていたように、ポップカルチャーがキラキラと輝きを放って、時代の雰囲気を醸成し人々の心をとらえた時代でもありました。

ただ、そんなキラキラと明るくて楽しいイメージとは裏腹に、冷戦構造、核兵器の問題などから、何かのきっかけで明日世界が崩壊してもおかしくないというような不安や恐怖が人々の心に重くのしかかり、キラキラしたポップカルチャーが表舞台を飾りながらも、一方では陰謀論やUFOなどのオカルトが席巻していたんですよね。

さらに、シーズン3の中でも描かれていましたが、大量消費の時代となった結果、大型のショッピングモールに自営の小売店などが駆逐された結果、街の経済構造が変化して、経済を通した人々の生活の中でのつながりが失われて、コミュニティが崩壊していくという事態も生じました。

80年代というのは、明るい表面の顔とは裏腹にダークな闇の世界が存在するようで、まるでドラマのように、表の世界とアップサイドダウンが共存するような時代だったんですね。

眩いほどの明るさと絶望的な暗闇が隣り合わせになっていた時代

現代との関係性

そして、現代。

現代は80年代のような明るさ元気のよさは失われてしまいましたが、当然ながら歴史の延長線上にあります。

特に、SNSの台頭などから、人々はもはや共通の文化的な文脈すら持たなくなりつつあり、人々は各々の幻想の中に生きて、ダスティンのスピーチに出てきた「分断」は、今や民主主義社会を崩壊に導きかねない程に深刻なものとなっていますよね。

つまり、宗教的な面で神なき世界であるだけでなく、民主主義によって平等や平和が実現するという神話も崩壊し、社会全体がアビスを覗き込んでいるような状態にあるのが現代だと言えるんじゃないでしょうか。

ですから、80年代を舞台にしたこのドラマの中に登場した「マインド・フレイヤー」という実体のない怪物や、ヘンリーのような怪物に見出されたカリスマによって世界が滅ぼされようとする様がリアリティーを伴う恐怖として感じられ、それと戦う人々の姿に心を打たれるんだと思います。

登場人物達の選択や生き様に、今の時代をどのように生きるかということを学ぶことができるドラマになっていると言えるでしょう。

嘘も本当も自分が信じたいものを信じるような現代の風潮について、昔はこんなことになるとは想像もしなかったなと思うことがあるのですが、今回の記事を書く中で、実はその萌芽は遥か昔から存在したのだなと気付かされました。

分断への架け橋として機能する『ストレンジャー・シングス』

そして、共通の文化的な文脈すら失いつつある世界の中で、国も世代も越えて多くの人たちを魅了して2026年の年初の話題をさらった『ストレンジャー・シングス』。

こんなふうに、一つのコンテンツの持つ世界観を多くの人が共有して、同じものについて語り合うきっかけを提供してくれる人気作というのは、今のような時代だからこそ存在意義が極めて大きく、バラバラになってしまった私たちにお互いの違いという壁を越えて、友を作るチャンスをくれるように思います。

そう考えると『ストレンジャー・シングス』という作品そのものが、物語のテーマの通りに分断への架け橋として機能する存在として、現代を救済しようとする作品となっているのではないかと感じています。

ありがとう、さようなら!『ストレンジャー・シングス』

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました。

最終シーズンをずっと楽しみにしていて、実はnoteの方で、最終シーズンまでのおさらいとして、あらすじをまとめるなどもしていたんですよね。

それくらい気合を入れて公開を待っていたこともあり、最終回が期待外れだったら悲しいなと思っていたのですが、私としては大満足の結末でした。

ただ、Rotten tomatoesをチェックしてみたらビックリ!批評家以外の観客からの評価が54%で、かなり低い・・・。

理由は色々なようですが、メッセージ性に力をかなり入れた部分が賛否の分かれる大きな原因となったのかもしれません。

本文中に書いたように分断の架け橋となったのも事実だと思うんですが、同時にそれがまた新たな分断を生み出すきっかけともなっているようで、作品の背負ったものの大きさを感じました。

それくらい現代に切り込んだ部分があったってことなのかなとも思います。

賛否が大きく割れるということ自体が、この作品が“分断のただ中にある世界”へ真正面から触れた証であるとも言えるのではないでしょうか。

📚関連記事のご紹介

『ストレンジャー・シングス』に関しては、noteで色々記事を書きました。

こうして並べて見ると我ながら随分たくさん書いたなぁ。

👉元日に『ストレンジャー・シングス』が完結した結果、2026年の目標が決まった話

👉『ストレンジャー・シングス』シーズン5、最高の台詞はこれ。観てない人にも知ってほしい!|AC✖️HSPの私のドラマ深掘り感想

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👉『ストレンジャー・シングス』シーズン4のあらすじ前編&見どころ|最終章公開前におさらいしよう【AC✖️HSPの私のドラマ解説】

👉『ストレンジャー・シングス』シーズン3のあらすじ&見どころ|最終章公開前におさらいしよう【AC✖️HSPの私のドラマ解説】

👉『ストレンジャー・シングス』シーズン2のあらすじ&見どころ|最終章公開前におさらいしよう【AC✖️HSPの私のドラマ解説】

👉『ストレンジャー・シングス』シーズン1のあらすじ&見どころ|最終章公開前におさらいしよう【AC✖️HSPの私のドラマ解説】

  • この記事を書いた人

もりのやまね

私は、アダルトチルドレン(AC)当事者で、
HSP(繊細で感受性が強い気質)の傾向があります。

現在は、一児の母ともなり、不器用ながら何とか生きているところ💦

映画やドラマの鑑賞が長年の趣味で、
年とともに弱ってきた身体に鞭打って睡眠時間を削りながら、
胸に突き刺さるような名作を探究し続けています。

このブログ「Slow growth」では、
そんな私が出会った名作と言えるような 映画・ドラマ(ときどき本も)について批評しています。
そして、 同時に、自分の経験や生活実感をもとに
現代社会と人間の「生きづらさ」の構造を考察することを目指しています。

生きづらさっていうのは、ただの苦しみというだけではなくて、
生きる実感をもたらしてくれる 人生の友ともなりうるものであることを、
お伝えできたらいいなと思っています。

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